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(1)記憶とは
記憶は、「記銘」・「保持」・「想起」の3段階から成り立っています。
第一段階の「記銘」とは、ものを覚えること。
第二段階の「保持」とは、覚えたものを貯蔵すること。
第三段階の「想起」とは、貯蔵している場所から、覚えたものを思い出すこと。
第三段階の「想起」は、さらに「再生」と「再認」に分けられます。
・「再生」とは、保持していた情報を引き出すこと。
・「再認」とは、いくつかの情報の中から選択すること。
例えば、りんごを英単語で書きなさい という筆記問題は「再生」であって、4つの英単語の中から、りんごの意味の英単語を選びなさい という選択問題は「再認」ということになります。
記憶の難しさから言えば、「再認」よりも「再生」の方が正確な記憶が求められるので、難易度は高くなります。
次に、記憶法についてご説明します。
(2)短期記憶を司る海馬に着目した記憶法
脳の一器官「海馬」を使った記憶法として、次の方法があります。
@ 繰返し法
一度覚えた情報を繰返し覚える方法です。 海馬では、何度も同じ情報を認識すると、重要な情報だと判断し、長期記憶させようとします。 この特性を利用した記憶法です。
ただ、注意すべき点があります。「繰返し覚える」とは、1度に何度も覚えようとするのではなく、一日・一週間・・・と的確な時間をおいて、再度覚え直すということです。
A 感情法
脳科学によると、「プラスの感情」が「記憶力向上」につながるそうです。
一時的な記憶の保管場所である海馬は、好き嫌いといった感情が生み出される扁頭葉と連動しています。
このため、自分から「面白い」「楽しい」といったプラスの感情を積極的に引き出すことによって、記憶を向上させることができます。
(3)脳の特性を利用する記憶法
@ 連想法
脳機能は、あるきっかけにしたがって変化を受けると、この変化を保ち続けるという性質があることが脳科学の世界で明らかになってきました。
脳損傷のリハビリ研究などでは、これを「脳の可塑性」と呼んでいます。
一度覚えた情報に、何か別の情報を関連つけたりすると、脳は記憶していた情報に変化が起こったと判断し、その変化を強く保持しようとし、記憶をより鮮明にするのです。
ここで、ワンポイントアドバイス!
本に書かれた知識だけでなく、今まで実際に経験したことにも結びつけると、効果的です。
A 整理法
「脳の汎化」という特性を利用する記憶法があります。
汎化とは、梅干を見ただけで唾がでてくるように、一度ある一定の刺激が脳に与えられれば、その後は類似する経験でも脳が条件反射的に反応するようになることです。
類似の情報をまとめて覚えると、芋づる式に引き出しやすくなるので、英単語を覚えるときは、意味が似ている英単語をグループに分けてから、グループごとに覚えるとよいでしょう。
(4)脳全体の活性化を利用する記憶法
@ 高速法
東北大学の川島教授が行っているブレインイメージ研究では、音読や単純計算を早くすることによって、脳全体が活性化し、記憶力が高まるという実験結果が出ています。
また、潟Oローバルサクセスが開発・販売している速音聴ソフトを使えば、1〜10倍に速くなった音声を聞くことができます。 この効果は、「成績がアップした」「老化防止になった」「EQがアップした」という体験談が続々と寄せられてることから、実際の効果が証明されています。
高速学習によって得られるメリットとして、学習時間の短縮が挙げられます。2倍の高速学習をすれば、普通に学習して10分かかる箇所を、5分で学習できます。 同じ10分間勉強すれば、普通学習に比べ、2回見直せるので、脳へのより確かな刺激と記憶力の向上が期待できます。
A 五感法
多くの方は、見るだけで覚えようとしているのではないでしょうか?
「目」で見るだけで覚えようとするのではなく、「目」で見て、「口」から声を出して音読し、「耳」で聞きながら、「手」を使って書き、頭で具体的に意味を「イメージ」して覚えましょう。記憶する際に、より強い印象を与えておくことで、思い出すことが容易になります。
(5)記憶の忘却曲線
記憶の忘却について、有名なエビングハウスの実験結果があります。 この実験は、エビングハウスが子音・母音・子音から成り立つ無意味な音節を記録し、その再生率を調べた実験です。
この実験結果を踏まえ、創心義塾では、人は知識を忘れていく生き物であることを前提とし、上記の記憶方法を用いて、生徒の記憶率がアップする対策を講じています。
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